舞台『リミット・オブ・タイムラグ』超・高難易度の”時間”にまつわるギミックとは?!【前編】

RINCOプロデュース公演『リミット・オブ・タイムラグ』の一般公開制作発表が、8月3日に東京・北とぴあドームホールにて行われ、本作のプロデューサーである加藤凛太郎、キャストの沖野晃司、栗生みな、黒貴、相笠萌、水崎綾、さかいかなが登壇した。

f:id:technical_kuzu:20180804092300j:plain

左から、水崎綾、黒貴、栗生みな、沖野晃司、相笠萌さかいかな

数々の舞台・テレビCM・ドラマ等に出演中の実力派俳優・加藤凛太郎が、舞台公演プロデュースを目的に立ち上げたプロデュース団体・"RINCO(リンコ)"。本作『リミット・オブ・タイムラグ』(通称:リミラグ)は、そのRINCOによる初のプロデュース公演で、作・演出は久保田唱、そして沖野晃司をはじめとする総勢22名の豪華キャスト陣が出演する。”時間にとらわれた(悲劇)喜劇、開幕。”をキャッチコピーに、「各公演XX時ぴったりではなくXX時59分に開演する」「構成上、高難易度なギミックを取り入れた作品である」「〈リアルタイムコメディ〉である」など、前人未踏の斬新な試みを行う舞台公演として、SNSを中心に注目を集めている。


今回開催された「一般公開制作発表」もその斬新な試みのひとつ。制作発表とは通常マスコミ記者を呼び込んで行われるものだが、今回は、一般の観客、普段劇場へ足を運んでいる演劇ファンを"記者"として呼び込み、各個人のSNSにて発信する"広報活動"をしてもらう、という前例のない形をとった。また、一般記者は、写真撮影OK、記録用音声の録音もOKと、実際の制作発表さながらの環境での参加が許され、マスコミ記者ばりの大きなカメラを持ち込む参加者も多数見受けられた。

f:id:technical_kuzu:20180804092609j:plain

加藤プロデューサー

まず、プロデューサーであり自身も本作へ出演する加藤氏が壇上へと姿を現し、今回の制作発表を一般公開とした理由を語る。

SNSが普及した現代において、情報の発信者・受信者の垣根はどんどんと無くなってきており、有益な情報・興味深い話題は必ずしもマスコミから生まれるわけではなくなりました。"バズ"と呼ばれる非常に大きな情報拡散に発信者の母体の大きさは関係なく、SNS上には面白い話題を見つけ出す目、そして、土俵があるのだと感じています。ぜひ皆様の多大なる影響力・情報発信力で、当公演の存在を広めていただけましたら幸いです」

 

 『リミット・オブ・タイムラグ』(直訳するとリミット="極限"、タイムラグ="時間のずれ")というタイトルや、「各公演XX時ぴったりではなくXX時59分に開演する」というタイムスケジュールからも、本作は"時間"に特別なこだわりをもった公演であろうことは見て取れるが、そのこだわりとは具体的に一体どういったものなのか。また、構成上取り入れられた高難易度なギミック(仕掛け・からくり)とは何なのか。今回の制作発表にて初解禁の、本作の内容についてが次々と明かされていく。

 

作品のテーマはズバリ「時間・時刻」。

f:id:technical_kuzu:20180804092756j:plain

そして、”時間にとらわれた(悲劇)喜劇、開幕。”というキャッチコピーの”時間にとらわれた”という言葉の意味するものは大きく分けて2つある、と加藤氏は語る。

f:id:technical_kuzu:20180804092931j:plain

1つ目は【作品のストーリー進行上、登場人物たちが時間に追われている】ということ。しかし、「これは基盤となるとても大事な要素なのですが、時間に追われるストーリーというのは決して珍しいものではありません。大事なのはもう一つです」という。その大事なもう1つとは一体何なのか。

それは、【演じている俳優陣が時間と戦う】ということ。つまり、舞台上で役を演じている最中の俳優本人が、本人として、芝居をしながら時間と戦う、ということだ。

なぜ俳優本人が本人として時間と戦うことになるのか。そしてそれにはどういう意味があるのか。これらは"構成上取り入れられた高難易度のギミック"の中に隠されているという。

f:id:technical_kuzu:20180804093740j:plain

"構成上取り入れられた高難易度のギミック"とは、簡単にまとめると【舞台上に客席から視認可能な動く時計が置かれ、その時計の時間進行に合わせてストーリーが進んでいく】というもの。

通常の舞台作品では、例えば
 ①起床する
 ②朝食をとる
 ③家を出る
 ④電車に乗る
という流れの芝居をする際、それぞれ細かく何時何分にその行為をするか、というのはそれほど意識しないだろう。しかし、本作に限っては、
 ①起床する (6時30分)
 ②朝食をとる(6時45分)
 ③家を出る (7時20分)
 ④電車に乗る(7時30分)
というように、それぞれ何時何分にその行為をするかが予め台本上で決められており、且つ、舞台上には時計が存在するため、役者は絶対にその時刻を守らなければならないという意味での時間との戦いが生まれる、ということになるだろう。(※例、時間の刻み方はあくまで筆者の想像)

このことを、加藤氏は「絶対的不動の時間の概念を、演劇に足す」と表現していた。

f:id:technical_kuzu:20180804093556j:plain

「時計に合わせて生の芝居を進めていくということは、時刻に合わせた台詞やシーンを迎える瞬間に向けて、秒単位でシーン進行スピードをコントロールしていかなくてはならない。俳優陣が舞台上で連携を取り、(台詞回しの)ピッチが早い時には誰かがピッチを落としたり、時にはアドリブで引き延ばしたり、逆に遅い時には誰かが巻いて台詞を言うことになったり、端折ったりしなくてはならないことになります」

「これは、いくら稽古をしようが、本番で起きたそのタイミングを生で体感し、役者一人一人が判断していかなければならない、ということ。役者としての芝居力はもちろん、その日その回のシーン進行状況を把握しつつ、柔軟に芝居を変化させる力が必要となります。毎公演同じにならないといわれている舞台作品ではありますが、より変化が目に見える形で垣間見える作品となるかと思います。今日うまくいっても、明日は同じ芝居にならない、何が起こるかわからない。それが、『リミット・オブ・タイムラグ』に埋め込まれた、【リアルタイム進行ギミック】であり、この作品の醍醐味のひとつなのです」


舞台上に時計を置き、リアルタイムでストーリーが進行。俳優陣は連携をとり、秒単位でシーン進行スピードをコントロールしていく――嘘のような高難易度ギミックを取り入れた『リミット・オブ・タイムラグ』。しかし、本作は時間の概念を取り入れた挑戦的な企画演劇として楽しんでもらうのが一番の目的ではない、と加藤氏は語る。

「純粋に、久保田唱氏の作るコメディ作品としての面白さ、豪華なキャスト陣が紡ぐ良質なコメディ作品をお届けすることこそが、今回のRINCOプロデュースステージの一番の目標です。そして、そこにギミックとして加えられた俳優陣による時間との戦いも、ひとつの見どころだととらえていただきたく思います」

 

本編に関するプレゼンテーション終了後、壇上にはキャスト陣6名が登場。

7名によるクロストーク・質疑応答の模様は【後編】にて。

 

f:id:technical_kuzu:20180804100431j:plain

◇公演情報◇

舞台『リミット・オブ・タイムラグ』

【日程】2018年10月5月(金)~14日(日) 全14公演
【会場】CBGKシブゲキ!!
【出演】沖野晃司、栗生みな、田渕法明、船岡咲、黒貴、相笠萌、水崎綾、田中彪、永吉明日香、天羽尚吾、シミズアスナ、室井一馬、きょどり親方、出井景梧、齋藤彩夏、図師光博、松本稽古、程嶋しづマ、さかいかな佐藤修幸、福地教光、加藤凛太郎
【チケット】(全席指定席)
前売券/ S席¥6500(非売品ブロマイド付)  A席¥5800
■先行抽選開催日時(S席のみ):2018年8月3日(金)12:00 ~ 5日(日)23:59
■一般発売日時:2018年8月11日(土・祝)12:00~

 

◇公式サイト◇

『リミット・オブ・タイムラグ』オフィシャルサイト:http://rinco.pro/timelag/

RINCO オフィシャルサイト:http://rinco.pro/

 

◇公式Twitter